こんにちは〜🌺 利用者:凌霄花です♪
今日は、最近読んだ中で、オススメの本をご紹介したいと思います📚
それが、こちら↓↓

筑摩書房出版の、吉田篤弘さんが書いた、「つむじ風食堂の夜」という本です。
(何度も読んだので、ちょっとカバーの縁がぼろぼろになりつつありますが汗)
この本は、架空の街「月舟町」を舞台とした物語。
主人公は、「月舟アパートメント」の「七階」……のような、屋根裏のような、ちょっと狭い部屋に暮らす、月舟町の人々に「雨降りの先生」と呼ばれている、ちょっと変わった男性です。
この主人公の視点で語られる、穏やかで、少し変わっていて、けれど温かみのある物語です。
語り手である「雨降りの先生」は、「人工降雨」、つまり、人工的に雨を降らせるということについて、独自に研究をしています。
ですが、それだけでは食べていけないので、大学の友人がまわしてくれる「軽い読み物」を書く仕事をしながら暮らしています。
この物語には、いろいろな登場人物が登場します。
しかも、その誰もが、どこか、ちょっと変わった特徴を持っています。
例えば、主人公の「雨降りの先生」のお父さん。
「2 エスプレーソ」では、この「父」が手品師であったこと、手品師として舞台に上がっていた劇場の一角にあったカフェの「エスプレーソ」(エスプレッソのことらしいです)をよく飲んでいたこと、そして、父が注文した「エスプレーソ」を作っていたカフェの店主である「タブラさん」のことについて、語られています。
あるいは、主人公の住む「月舟アパートメント」の五階に住む、舞台女優の「奈々津さん」。
所属している劇団では、2番人気で、必ず、看板女優と対立する役どころを演じる女優さん。
でも、いつか、自分が主役として舞台に立ちたい、という気持ちもあるのです。
またあるいは、月舟町で、果物屋さんを深夜まで営む青年。
彼は名前は出てきませんが、古い本と果物が好きな穏やかな青年。
「雨降りの先生」がいつ店の前を通りかかっても、本を読んでいます。
彼は、
「果物屋一軒でもやっていれば、少しは明るくて安心でしょう?」
と、言いながら、深夜まで、自分の店を開けています。
「雨降りの先生」の語り口は、シンプル。
それほど難しい言葉が使われているわけではありません。
また、読んでいて、「雨降りの先生」特有の語り口の、独特のリズムを感じる時もあります。
他にも、帽子屋さんの桜田さんや、豆腐屋さんの店主、古本屋の店主。
そして、「名無しの食堂」だけれど、皆には「つむじ風食堂」と呼ばれる食堂を営む店主と、その助手であるサエコさん……。
物語を読み進めていくうちに、あなたは、気づくかもしれません。
この物語は、「雨降りの先生」の視点で進みます。
そして、その生活の中で、「つむじ風食堂」に訪れるのは、夜、つまり夕飯時だけ。
つまり、昼間、そして、夜の時間の多くは、「つむじ風食堂」が舞台となっていないのです。
ですが、これは、確かに、「つむじ風食堂」に集う人々(主に、「雨降りの先生」、奈々津さん、帽子やさん)、そして、そんな人々に関わっている様々な個性を持った人々(「父」や、カフェの店主であった「タブラ」さん、古本屋の店主など)の物語なのです。
例えば、「雨降りの先生」は「父」を亡くしていますが、縁あって、その後、「珈琲タブラ」という看板を出している店を見つけます。
「まさか」
と思って、店に入る階段を降りていくと、自分が幼い頃、父と共に劇場を訪れた当時のタブラさんとそっくりな男性が、カウンターの中に立っていました。
「夢なら覚めるな」
と思いながら、自分も、「父」そっくりに、「エスプレーソ」を注文する「雨降りの先生」。
そして、「珈琲タブラ」の店主である男性が、あの当時のカフェの店主であった「タブラさん」の息子、つまり「二代目タブラ」であることがわかるのです。
「つむじ風食堂の夜」は、様々な人々が、地層のように積み重ねてきた、年月の物語。
そして、人との関わりの中で、小さくとも、新たな転機が訪れる物語でもあります。
決して派手な物語ではありませんし、小さなきっかけが、やがて大きな事件に発展する……と言うようなこともありません。
でも、この先、手離すことはないだろうと思える、素敵な一冊です。
派手で大きなことが起こる物語に、疲れた時。
そうでなくとも、自分が経験したことや、ぶつかってしまったことで、疲れてしまった時。
そんな時に、ゆっくりと、温かくて甘い飲み物を飲みながら読みたい……。
「つむじ風食堂の夜」は、そんな物語。
ぜひ、皆様も、ご興味がありましたら、お手に取ってほしい1冊です。


